デーリー東北掲載 『歯っぴーライフ』

デーリー東北掲載記事「歯っぴーライフ」のご紹介

 八戸歯科医師会では、2008年3月~6月まで、隔週木曜日のくらしのページへ 「歯っぴーライフ」と題した、歯科に関する知識をご紹介する連載記事を掲載いたしました。
 ここにその内容をご紹介し、皆様のお役にたてていただけたら幸いです。

第一回 歯科医院は今

 デーリー東北掲載紙面(PDF)
 歯科医院(歯医者)と聞いて、あなたがまずイメージされることは、どんなことでしょうか?痛いとか怖いといったことをはじめ、あまりいい印象がない方が多いのではないでしょうか?しかしながら、最近の歯科医院は、皆様のことを第一に考えた環境作りをすることはもちろんですが、以前ほどに混雑することが少なくなりましたので、まずは、皆様のお困りのことや気になっていることをお聞きし、それへの適切なアドバイスや治療を実施出来るようになってきました。
 また、日々の治療技術の向上は、これまでの痛い、怖いといったイメージを払拭していると思います。また、歯科医院には、歯科医師(歯医者)だけでなく、様々なエキスパートがおります。歯科医師は、すべてに渡っての監督者で治療のコーディネーターですが、歯科衛生士、歯科助手といった院内スタッフがおります。また、なかなかお目にかかることは少ないのかもしれませんが、歯科技工士というエキスパートもおります。歯に被せる銀歯を製作したり、入れ歯を作ったりする、いわば歯科におけるアーティストです。
 歯の形や色は、人それぞれに違いますので、その方にあった寸分狂いない装着物を歯科医師の指示通りに作る技術を持っており、0.1mmの狂いも生じません。そして、歯科医師とこうした様々な役割を持つスタッフとが協力しあって治療とケアをしていくことになるわけです。八戸歯科医師会は、市内のほとんど全ての歯科医院が所属する団体で、皆様の歯の健康を守るために日々努力研鑽しております。新聞紙上にも毎回掲載しています八戸市と歯科医師会の事業である休日当番医をはじめ、一歳半・三歳児健診、今後お話していく歯周病予防のための歯周疾患検診事業などについて、様々な情報をホームページからも発信しておりますので、どうか、一度ご覧下さい。
 今、お口の中に何らかの悩みをお持ちの方、そして、そうでない方も、まずは歯科医院を受診され、御自身のお口の中の状態を診査してもらって、急なトラブルが起こらないよう、あなたにとっての「かかりつけ歯科医」を持ちましょう! 次回からは、より具体的なお話を書いて行きます。
(鈴木 聡)

第二回 歯周病の症状と治療

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 今回は、成人の8割が罹患しているといわれる「歯周病」についてお話をいたしますが、これは、意外に怖い病気です。糖尿病やメタボリックシンドロームなどと同じ生活習慣病とも言え、なかなか完全に克服することが難しいとされています。まずは、次の項目を自己チェックしてみましょう。
 1歯ぐきが赤くに腫れ、歯磨きの時に出血する。
 2歯ぐきから膿が出て、口の中がネバネバする。
 3口臭がある。
 4歯ぐきがむずがゆい、痛い。
 5歯がぐらぐら動いたり固いものを咬むと痛い。
 6歯と歯の間に隙間が広がり、食べ物がはさまりやすい。
 いかがでしたか?
 歯周病は、当初は症状のはっきりしない病気です。歯に歯垢がつくと、歯と歯ぐきの境目に歯周ポケットといわれる溝ができ、炎症の進行と共に深くなっていきます。歯周病を引き起こす歯周病菌は、酸素が少ない環境で増殖するので、歯周ポケットは格好の住みかとなるわけです。歯周病の初期にはまったく痛みがありませんので、知らないうちに進行していきます。進行すると歯ぐきの腫れが出現し、歯の動揺などの症状が出てきます。さらに進行すると根の先から歯の中の神経に影響が及び、激烈な痛みが出ることもあり、さらに進行し、周囲の支えている骨が吸収してなくなってくると、ついには歯が抜け落ちてしまいます。実際、成人の歯の喪失原因のトップは、歯周病によるものです。
 御自宅での予防の第一は歯磨きであります。歯周病に関連の深い、歯と歯茎の境目のところの歯磨きが重要で、歯ブラシは比較的軟らかめのものを選ぶ方がいいと思います。また、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシといった器具を併用することでより効率的に汚れや歯垢を落とせます。歯科医院での治療は、歯に付着する歯垢、歯石(歯垢が硬化して歯ブラシでは取り除けないもの)を除去し、さらにその方に合った歯磨きの指導などがありますが、皆様の状態はそれぞれに違いますので、まずは歯科医院を受診され、よきアドバイスを得ることをお勧め致します。
(新藤俊樹・鈴木 聡:八戸歯科医師会)

第三回 歯周病と全身疾患との関連

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 前回は、歯周病の症状や治療に関して書かせていただきましたが、この歯周病が、全身の様々な疾患と関連が深いということが、最近の研究でより明らかになってきました。糖尿病の方は、炎症を起こしやすくなるため、それ自体が、歯周病を悪化させて進行することは以前よりわかっていましたが、その後の研究で、炎症によって出てくる物質がインスリンの血糖値のコントロール機能を阻害することから、糖尿病をさらに悪化させる可能性が大きいということがわかってきました。
 また、歯周病の細菌が心臓内面に付着することで炎症が起きる、心内膜炎という病気との関連が深いとされています。また、歯周病が悪化している方の場合、動脈硬化が起こっている部分に歯周病の細菌がくっつくこともわかっており、血管の病気やそれに伴う心筋梗塞などの病気の原因にもなりかねません。また、噛むということ自体が脳に刺激を伝えることから、健康な歯と歯茎を持つ方に比べて認知症の進行が早いため、うまく噛めることは、いわゆるボケ防止になるわけです。また、よく噛むことは、唾液がよく出ることから歯周病を予防する効果があり、この噛むこと自体が肥満防止になるわけです。
また歯周病の悪化が早産の引き金になっているという研究データもありますし、喫煙が歯周病を悪化させることも明らかになってきました。また、必ずしもすべての口臭が歯周病に起因しているとは限りませんが、常に炎症が起こっているお口の中は明らかに嫌なにおいがします。前回のお話でも書きましたように、 歯周病はなかなか症状が表れにくい病気であるため、知らず知らずのうちに、あなたの健康にとって重大な不利益をもたらすことも考えられるというわけです。
 しかしながら、成人以降は、歯科健診の機会がほとんどないのが実情です。企業健診や、国民健康保険加入者であれば市町村から届く歯周疾患検診事業はよい機会と思います。また、そういう機会以外にも、あなたのお口の中は大丈夫なのか?歯周病の進行具合はどのへんなのか?をご自身で受診され、正しい対策をとって、これからの人生が美味しいものを美味しく食べられることはもとより、健康な体を維持していかれることをお勧めいたします。
(新藤俊樹・鈴木 聡)

第四回 子供の歯の健康とむし歯について

 デーリー東北掲載紙面(PDF)
 ひとの歯は、平均で生後半年くらいから乳歯が生え始めます。百日(ももか)の祝いといわれる「食い初め」は100日、あるいは120日目に行うようですが、その少し後ですね。お子さんの最初の歯科健診は、1歳半健診です。
この時期は、乳歯のほぼ半分の歯が出揃う時期で、この時にすでにむし歯があるということであれば、問題のある場合が多いと思われます。その後、3歳児健診がありますが、八戸市では、生後3歳6ヵ月になると案内を出して受けてもらうことになりますので3歳半健診とも言えますが、この時期は、すべての乳歯が生え揃っている時期です。
 歯の生え換わりは、6歳くらいから始まりますが、新たに生える永久歯が生えそろうのは、12歳頃ですから、どうせ乳歯は抜けるだろうから、むし歯も放置していいやと考えるかもしれませんが、乳歯をむし歯にして歯が崩壊してしまっていると、後に生える永久歯の位置がずれたり、後ろの歯が寄ってきたりで悪い歯並びになってしまうこともありますので、むし歯だと思ったら歯科医院を受診されることをお勧めいたします。永久歯は、実は生まれてすぐの頃から顎の骨の中で着々と出来始めるのですが、最初に頭の部分(歯冠:しかん)が出来、その後少しづつ根っこの部分(歯根:しこん)が出来てきます。
 また、生えたての永久歯は、幼若(ようじゃく)永久歯と呼ばれるのですが、その名の通りまだ本来の丈夫さを持っていないためむし歯に成り易く、こうした時期のうちに何らかの対策がとれれば、その寿命が長くなるといえます。最近のむし歯治療は、歯をなるべく削らないようにすることを考えたり、あるいは、ごく初期のむし歯を削らずに拡がることを予防する方法は保険診療でも可能ですが、これには乳歯はいつでも可能ですが、永久歯は生えて数年のみ対象となります。
 他にも、フッ素塗布と呼ばれる歯の表面を強くしてむし歯になりにくくする予防法などもあり、歯が生えたての一歳頃からの虫歯予防が可能ですので御相談下さい。
(成田寛治・鈴木 聡:八戸歯科医師会)

第五回 ホワイトニングは白魔術

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 あなたの歯の色は何色?「芸能人は、歯が命」とか、「白い歯っていいな」とかTVCM でも歯の色は白って決まっていると思う方も多いでしょうが、人間の自然な歯の色は、白ではありません。アイボリーとか乳白色という少しは黄色味がかった色が普通です。
もっとも、作った歯なら、真っ白も可能ですが、あまり白過ぎるのもかえって不自然だったりします。某野球選手の歯の色は、さすがに白過ぎない?って思うほどに白いですよね。歯の色には、個人差がかなりあります。また、乳歯は、ミルクティースとも呼ばれ、永久歯よりも白い色をしています。少し前まで、歯の色を変える方法は、つめる、被せる、貼り付けるといったことでしか出来なかったのですが、最近では、ホワイトニングという、自分の歯の表面を白くする方法が開発されました。
 これには大きく分けて二つの方法があり、歯科医院で薬剤を歯の表面に塗り、特殊な強い光を当てて白くするオフィスブリーチング法と、歯にはめるマウスピースのようなものを作って、一定期間家で毎日数時間それに薬剤を塗って入れておく、ホームブリーチング法とがあります。ブリーチとは漂白のことですので、これらの方法が歯を白くすることを意味しています。
 実施に当たっては、虫歯で無いことなど条件があり、色の変化の度合いも様々です。また、ホワイトニングは保険診療では出来ませんので、費用については、各歯科医院へお尋ね下さい。歯の色は、ホワイトニング直後から色が少しは変化していきます。他に治療野方法と比較検討が必要と思いますし、実は歯についた汚れが原因の色の変化で、歯科医院でお掃除して取ってもらったらきれいになることも十分にありえます。5月31日、6月1日の二日間、市内ラピアにおいて開催の「歯っぴー・はちのへ 2008」では、歯科医師による無料相談を実施しますので、この機会をご利用ください。
(新藤俊樹・鈴木 聡:八戸歯科医師会)

第六回 素敵な笑顔のために

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 理想的な歯並びって何だろう?なかなかすぐに答えることは難しいものです。
三社大祭にも登場する、獅子舞や虎舞のお神楽の歯のように同じ形がきちんと並んでいるといいのでしょうか?カチカチと威勢のよく咬めるように思いますが、実は、あれではうまく食事が出来ません。実際、人間の歯(永久歯)は、全部で28本(親知らずを除く)ありますが、この28本は、どれもよく見るとすべて違った形をしていて、それらが少しづつ前後にずれていて、しかも上下関係も尖っているところがくぼんでいるところにしっかり合うように並んで生えています。
 しかし、最近ではうまく咬めない歯並びになっている方が増えてきています。歯並びにとって一番重要な時期は、小学校の6年間です。乳歯が永久歯に生え換わる時期であり、顎の骨も成長して大きくなっていきます。日本矯正歯科学会では、「7歳頃までに歯並びチェックを!」と呼びかけています。きれいな歯並びは、美しさも大きく関係していますが、実は、うまく食事が出来ることや、歯磨きがしやすいことから、むし歯や歯周病になりにくいというメリットもあります。
 歯並びが悪いと一口に言っても、いろいろなケースがあります。上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、叢生(そうせい:乱ぐい歯)、開咬(うまく咬み合わない)などがありますし、生まれつき歯が足りない(先天性欠如歯)といったことも不正咬合の原因になったりします。ただ、治療は先天的な異常を除いては保険が適用されませんので、その診断・治療の費用については、ご相談が必要です。加えて、治療期間が長く、本人のご協力が必要な治療です。
 実際の治療は、歯科医院で治すというよりは、歯科医院では動く方向を調整して、普段の生活の中で歯が動いていくことになります。また、成人以降も歯並び治療は可能です。 5月31日、6月1日の二日間、市内ラピアにおいて開催の「歯っぴー・はちのへ 2008」では、歯科医師による無料相談を実施します。また、日本矯正歯科学会のホームページには、矯正に関した様々な情報が掲載されています。
(鈴木 聡:八戸歯科医師会)


日本矯正歯科学会
日本矯正歯科学会

第七回 歯の喪失と対策

 デーリー東北掲載紙面(PDF)
 歯を失うということは、いろいろな意味で、その方の人生に大きなマイナスをもたらすこ とです。物を咬むという機能的なことばかりでなく、例えば前歯が一本ないだけで、その 方の笑顔の印象がだいぶ変わります。試しに、海苔を用意して前歯のサイズに切って、そ れを前歯の一本に張り付けてみて下さい。
そして鏡の前でにっこり笑ってみると、その驚 くべき違いがわかるのではないでしょうか?ですから、歯科医は、その方の歯を何とかし て抜かずに済む治療を心がけているわけですが、むし歯がひどかったり歯周病でグラグラ 動いてしまうなどの理由で抜歯を余儀なくされる歯が長い人生の中では出てくるものです。
 歯が無くなった後に出来ることとして皆さんに一番わかりやすいのが義歯(入れ歯)です。
 他の歯をほとんど傷つけずに製作できるという長所がありますが、他のものに比べ、どう しても邪魔な感じになることが短所です。次に考えられるものとして、隣通しの歯を繋い で作るブリッジというものがあります。これは、咬みやすく違和感が少ないという長所が ありますが、繋ぐ歯を削らないと製作出来ないことが短所です。ここまでは、かなり以前 からある治療の方法ですが、他にインプラントというものがあります。
 今まで歯が生えていた骨にチタン製の金属のネジ状のものを埋め込んで、そこに新たな歯を作ります。 ここ20年くらいで、だいぶ進歩して成功率が高くなってきた方法で、自分の歯のように丈夫 で長持ちし、しかも他の歯を傷つけずに作ることも可能であることから、実績が上がって いる治療方法ですが、保険外診療となりますので、費用については、歯科医院でご相談が必要です。加えて、実際の治療では、骨にくっつくまでの時間を待たなくてはいけない点などから、他の方法に比べ、完成までに時間がかかるという欠点があります。
 歯は、隙間があったり、抜きっぱなしになっていると、他の歯が移動してしまって、より咬みづらくなったりしますので、これらのうちの何らかの方法で、歯がないところをなくすことが必要です。また、失った歯の場所や本数などで治療方法が違ってきます。
(夏堀礼二・鈴木 聡:八戸歯科医師会)

歯の心得

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